今回はいろいろある型のお話です。
クリエイターは作品に対していろいろな工夫をこらしています。
- 作品への入り口を用意している
- 視線を誘導させる
- 視線を作品の外へ流す。
6つの型をまとめたので、お絵かきやお写んぽにつかっちゃいましょう。
集中線型
天井や扉を描いている線が、真ん中のイエス・キリストにむかっています。
集中線型です。
12使徒のみなさんもキリストはココ!と言わんばかりに、視線や身振りをまん中のキリストへおくっています。
このように集中線型の作品は、被写体へ線が集まっているだけなので、シンプルな手段といえます。
こちらの作品も集中線型の代表作ですね。
周辺の線が、テラスにいる白い服装のウェイトレスへむかっています。
- ビルの線
- ひさしの線
- 窓の線
- 石畳の線
これらの線があることで、無意識にカフェテラスへと視線がむかってしまうのです。
白い服のウェイトレスをフォーカルポイントにすることで、夜のカフェの雰囲気を自然と感じとることができます。
周回型
周回型とは、何度もフォーカルポイントへ視線が戻ってしまう、というような作品です。
リーディングラインを追っていくとフォーカルポイントへたどり着きます。
- フォーカルポイント➝リーディングライン
- 追っていくとフォーカルポイントへ
- リーディングラインへ
- フォーカル。。。
- リーディング。。。
といった感じで、視線がループされる作品があるのです。
集中線型とくらべると周回型はちょいとわかりにくいかもです。
海に反射している太陽が後光の役割をはたしているので、中央の舟がフォーカルポイントとなるのですが、
- まんなかの舟の先端部分は、左上の舟へ線がむいていて
- 左上の舟の帆は、右側にいる人がのっている舟へ線がむいていて
- 右側の舟のオールが、フォーカルポイントであるまんなかの舟へ
- まんなかの舟の帆が上へむかい
- 帆の周辺の太陽光が、右上の停泊?している舟へむかい
- その舟たちの帆は、右側の人がのっている舟へむかい
- 右側の舟のオールがフォーカルポイントへもどす
という具合に、ずっとループできるのです。
クラッカー型
クラッカー型の作品というのは、パーティーで使うあのクラッカーをイメージしてください。
一点から噴出するイメージです。
集中線型とごっちゃになりがちなのですが、リーディングラインの意味合いが全く違うのでご注意を。
集中線型はリーディングラインがフォーカルポイントへ向かっていました。
クラッカー型は、一点から放射状に放たれる線が被写体を収める、はたらきを表しているのです。
3人の周辺をみてみると、線がある一点に向かっていることに気づくとおもいます。
真ん中の人の腰の上に、わらのかたまりがあります。
このわらのかたまりがクラッカー役なのです。
このわらのかたまりから噴出される線は、
- 地平線をつくっている
- 左側の人の体のラインを、頭からアウトサイドへ
- 左側の人の体のラインを、腕からアウトサイドへ
- まんなかの人の体のラインを、腕から左下の角へ
- 右側の人の頭から腕へ、腕からスカートへ、スカートからアウトサイドへ
- 右側の人の背中から、アウトサイドへ
というぐあいに、穂をひろっているこの3名の周辺には、いろいろな線があるのです。
一番見てほしいこの3名を包みこむようなえがき方をしているので、絵の収まりがよくなるのです。
ジグザグ型
ジグザグ型の作品というのは、ビリヤードをイメージするとわかりやすいかもですね。
絵の端っこへ向かった視線をワンポイントをおくことで画面の中へ戻したり、モニュメントをおいて分岐点にするという描き方で、全体をくまなく見れるという効果があります。
この作品は横線が多く描かれています。
斜めの線は、次のレイヤーへむかうための橋になっています。
この絵の見方はというと、
- 絵の下側の道・草・柵が、左上にむかいます。
- 柵の右側からはまん中のリアカーへ、そのまま柵の左側へ向かいわらの山のふもとへ。
リアカーとわらの山がワンポイント! - わらの山にはハシゴがあります。
ハシゴは上るもの、上りきったわらの山の上部分が最終的に視線が向かう消失点になっています。
ハシゴを上らずに柵をまん中へむかとワンポイントであるリアカーにあたります。 - リアカーは右へ行けと指しているので、そのまますーっと右はしへ。
- 青いものが上へ行けと指しています。
- 線がわらの山へ向かっていたり、田んぼの線が消失点へむかっていたりしています。
右上にある建築物は、視線を右へ抜けさせないためのワンポイントです。
このように線を追っていくと、
- 左側にあるわらの山・右上にある建物
➝視線誘導の壁役 - 中心のリアカー
➝分岐点であり案内役
という役割があり、視線を追うとジグザグしている見方ができるのです。
S字型
S字型の作品というのは画面を大きく〝S〟という感じの線をえがくことで優雅な雰囲気をまとうことができます。
コニャックというお酒を片手にこちらを振り向くこの女性、立ち居振る舞いが大きなSになっています。
この女性をとりかこむ背景の樹木も大きくSとえがかれていて女性を際立たせています。
プラットフォームの出口となってしまう4つの角も左下以外はうまく回避しています。
この絵は明暗差があり樹木が丸くおおっている女性の顔がフォーカルポイントとなります。
女性の顔をみると、樹木は下へむかいコニャックが目にはいり、腰を通過して右下の角をさけるようにして一気に左下の角から視線が流されます。
この作品をえがいているチェコ出身のアルフォンス・マリア・ミュシャは、日本の方には人気があるみたいですよ。
絵画の出口
作品には視線誘導の出入口が用意されているものもあります。
リーディングラインの始まりと終わりになる部分です。
みなさんはこの絵をみると、ステージの女性たち・奏者の方々に目をむけてしまうのではないでしょうか。
明暗差や色合いからもフォーカルポイントであるといえます。
でも今回は入り口と出口のお話です。
色合いが暗いのでこれなのか?という感じなのですが、右側のコントラバスという大きな弦楽器を弾いている方のイスが入り口で、この奏者の視線が出口です。
では順を追ってみましょう。
- 黒のタキシードに浮かび上がるようなイスの背もたれなんですが、唯一外の世界につながっているのがイスの脚です。
- 手すりを左へ向かい、明暗差がでている手へむかいます。
- そのままファゴット ( 長い木管楽器 ) をたどり、イスにすわっているコントラバス奏者の左肩からコントラバスの頭の部分へ。
青いドレスの女性へと視線がアウトしそうですが、女性の左腕がさすほうへ視線をもどしましょう。 - ステージの華やかな女性たちを左にぬけて左上の角へ。
男性の顔を描いて、視線がアウトするのを防いでいます。 - ハープを下へむかうと、チェロ奏者が目にはいります。
ここまでくると出口へ一直線です。 - 奏者達の視線のさきへとむかってください。
右の奏者の方もしっかりと出口を向いています。
ファゴット・ステージのライン・ハープとチェロの3つの辺に囲まれて出来上がった大きな三角形も、出口へと角がむいているので大きな助けとなっています。
という具合に、入り口と出口がある作品もありますのでお見知りおきを。
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